レンズの敵!?ザイデルの5収差を解説

カメラを知りたい
先生、「ザイデルの5収差」ってなんですか? 写真のレンズの性能に関係するって聞いたんですけど。

カメラ研究家
いい質問ですね!「ザイデルの5収差」は、レンズを通った光が理想的な状態からズレてしまう現象、「収差」の代表的な5つの種類のことです。カメラのレンズは、理想的にはすべての光を一点に集める必要がありますが、実際にはそうはなりません。そのズレが写真に様々な影響を与えるんです。

カメラを知りたい
へえー、そうなんですね! 写真にどんな影響があるんですか?

カメラ研究家
例えば、写真の端がボケてしまったり、像が歪んでしまったりします。ザイデルの5収差には、「球面収差」「コマ収差」「非点収差」「像面湾曲」「歪曲収差」の5つがあります。それぞれどんな影響を与えるのか、興味があれば調べてみて下さい。
ザイデルの5収差とは。
カメラや写真の世界で使われる「ザイデルの5収差」という言葉は、レンズが理想的な状態から外れてしまうことを「収差」と呼びますが、その中でも特に代表的な5つの収差のことです。これらの収差は、有名なドイツの光学者であるPhillip Ludwig von Seidelの名前にちなんで名付けられました。広い意味では「球面収差」(詳しくは2月号をご覧ください)に含まれますが、細かく分類すると、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の5つになります。それぞれの収差の詳しい説明については、各項目をご覧ください。
写真レンズの基礎知識:収差とは

美しい写真を撮るためには、カメラのレンズ選びは重要です。しかし、レンズの性能は、単に「明るい」「暗い」だけで決まるわけではありません。レンズの性能を語る上で避けて通れないのが「収差」の存在です。
収差とは、レンズを通る光が理想的な位置に集まらず、画像にボケや歪みを生じさせる現象のことです。収差があると、せっかくの美しい景色や人物も、クリアに写りません。
この収差には様々な種類があり、それぞれ違った形で画質に影響を及ぼします。収差の種類や特徴を理解することでより良いレンズ選びができるようになり、撮影の幅も広がっていくでしょう。
ザイデルの5収差:完全なレンズを目指して

カメラや顕微鏡、望遠鏡など、レンズが使われている光学機器は私たちの身の回りにたくさんあります。これらの機器を通して私たちはクリアで美しい像を見たいと期待しますが、現実にはレンズを通した光は様々な要因で理想的な状態から歪んでしまいます。
この歪みのことを「収差」と呼び、収差には様々な種類が存在します。中でも、レンズの形状に起因する収差を「ザイデルの5収差」と呼びます。今回は、「球面収差」「コマ収差」「非点収差」「像面湾曲」「歪曲収差」の5つから成るザイデルの5収差について、それぞれの発生原因や特徴、補正方法などを詳しく解説していきます。
完全なレンズ作りは、レンズ設計者にとって永遠のテーマと言えるでしょう。しかし、ザイデルの5収差を理解し、その特性を把握することは、高性能なレンズを生み出すための第一歩と言えるのではないでしょうか。
1. 球面収差:中心と周辺でピントが合わない

レンズは、光を屈折させて像を結ばせることで、カメラや顕微鏡など、様々な光学機器に使用されています。しかし、理想的なレンズは存在せず、実際には光がレンズを通過する際に様々な現象が起き、像がボケたり歪んだりすることがあります。このような現象を「収差」と呼びます。今回は、その中でも代表的な5つの収差「ザイデルの5収差」について解説していきます。
– 1. 球面収差中心と周辺でピントが合わない
球面収差は、レンズの表面が球面であることによって発生する収差です。レンズの中心部を通る光と、周辺部を通る光では、屈折率が異なるため、焦点距離が変わってしまいます。そのため、中心部にピントを合わせると周辺部がボケてしまい、逆に周辺部にピントを合わせると中心部がボケてしまう現象が起こります。風景写真など、画面全体にピントを合わせたい場合に特に目立ちやすい収差です。
2. コマ収差:点像が尾を引く?

レンズは、理想的には光を一点に集束させるものですが、現実にはそううまくはいきません。コマ収差も、そんなレンズの理想を阻む要因の一つです。では、コマ収差とは一体どのような現象なのでしょうか?
コマ収差は、レンズの中心から離れた位置を通る光が、一点に集束せず、彗星のような形に像が伸びてしまう現象です。中心に近いほどその影響は小さく、中心から離れるほど大きくなります。そのため、画面の周辺部で像がボケたり、流れたように見えるのが特徴です。
この収差の名前の由来は、その像の形にあります。「コマ」は、日本語で「箒星」を意味する言葉です。彗星の形と、コマ収差によって生じる像の形が似ていることから、この名前が付けられました。
コマ収差は、風景写真など、画面全体にピントを合わせたい場合に特に問題となります。画面の中心部はクリアに写っていても、周辺部がボケてしまうのでは、せっかくの景色も台無しです。
しかし、コマ収差を逆手に取り、写真表現として利用することも可能です。例えば、光源をぼかして幻想的な雰囲気を演出する際に、コマ収差の効果を利用することがあります。
3. 非点収差:画面全体のシャープさに影響

一点から出た光がレンズを通った後、一点に集まらず、像がぼやけてしまう現象。これが収差です。非点収差は、画面の中心から離れた場所にある被写体が、点ではなく線のように伸びて写ってしまう収差です。
非点収差は、光軸に対して斜めに入射する光束が、レンズの球面形状によって異なる位置に結像してしまうために起こります。具体的には、レンズを通った光が一点に集まらず、縦方向と横方向でピント位置がずれてしまうのです。そのため、点像は楕円形や線状に伸びてしまいます。
非点収差があると、画面全体にピントが合わず、中心部は良く写っていても周辺部はぼやけてしまうことがあります。風景写真など、画面全体をシャープに表現したい場合に特に気になる収差です。
4. 像面湾曲:平面なのに歪んで見える

カメラのレンズを通して、被写体の像を撮像素子やフィルムに焼き付けますが、理想的には平面であるべき像面が湾曲してしまうことがあります。これが像面湾曲と呼ばれる収差です。
風景写真で、中央はくっきり写っているのに、周辺部のピントが甘くなってしまった経験はありませんか?これが像面湾曲の典型的な症状です。
レンズを通る光は、通過する位置や角度によって屈折率が微妙に変化します。このため、本来一点に集まるべき光が、平面ではなく湾曲した面に結像してしまうのです。
像面湾曲は、絞り込むことで軽減できます。しかし、根本的な解決には、レンズ設計の段階で特殊なレンズを用いるなどの対策が必要となります。
5. 歪曲収差:直線が曲がって見える

風景写真や建物の写真などで、本来は真っ直ぐであるべき建物の輪郭が歪んで写ってしまうことがあります。これが歪曲収差の特徴です。歪曲収差には、像の中心が膨らむように歪む「糸巻き型」、逆に凹んで見える「樽型」の二種類があります。
歪曲収差の原因は、レンズの中心部と周辺部で焦点距離が異なってしまうこと。特に広角レンズで発生しやすく、風景写真などでは目立ちやすい収差です。
近年では、ソフトウェアで歪曲収差を補正することが一般的になっています。しかし、補正によって画像の周辺部が切り取られてしまうこともあるため、撮影時に歪みを意識することも大切です。